2010年08月01日

私的、広島と映画とアニメーション論 32 広島国際アニメーションフェスティバル−6

32 広島国際アニメーションフェスティバル−6

 第1回広島国際アニメーションフェスティバルは1985年8月18日〜23日 広島市公会堂 で 開催となった。
 ここに、開催を前に語った第1回大会のディレクター木下小夜子さんを紹介する。
anime19850401Poste.jpg
 
                     広島映画センター機関紙から
---------------------------------------------

広島国際アニメーションフェスティバル広島大会開催にあたって
                             木下小夜子

 今年の8月18日から23日までの6日間催される、第1回国際アニメーションフェスティバル広島大会は、LOVE&PEACEをメーンテーマに、ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)公認後援の五つ目の映画祭として、アヌシー(フランス)、ザグレブ(ユーゴスラビア)、トロント(カナダ)、バルナ(ブルガリア)の各映画祭と同様に、2年に一回ずつ開かれる、公式の国際アニメーションフェスティバルです。

 ASIFAの歴史は、25年前にカンヌ映画祭からアニメ部門だけ独立したアヌシーフェスティバルと共にあり、アニメ関係者達の国際的な協力と、アイディア、経験、情報の自由な交換を通してアニメーション芸術の質を高め、発展させる強い目的を持って生まれました。

 国際短編映画協会に加盟しているASIFAの公式映画祭は、国際ルールに則った格調高い催しです。例えば、審査員の選び方、審査の方法、上映の細かい注意から参加者の招待のしかたにまで及んでおり、理事会のメンバーは、それが良い条件で行なわれたかどうか、各映画祭を監視します。

 アニメーション文化の振興と、芸術の発展への努力を通して国際平和に貢献するというASIFAの精神と、同じく、世界平和を追求する広島市の精神が一致した事は、アジアで初めてのこの映画祭を実現出来た大きな理由の一つですが、広島市の持つフィルムライブラリーの温度と湿度を最適な状態に保つ立派な施設が、出品作品の保管の上で映画祭の条件を十分満たすものでした。

 地方での開催に不満の声を聞く事もありますが、世界の映画祭を見まわしても決して例外ではないし、むしろ長い目で育てて行くには良い結果を産んでいるように思います。

 25年前、久里洋二氏が中心に設立したアニメーション三人の会から、イラストレーターやグラフィックデザイナーが中心になって草月アニメーションフェスティバルが催され、現在日本を代表する作家達の多くは、草月フェスティバルを刺激にこの世界に入っています。

 ヨーロッパと奇しくも時を同じくして芽生えたアニメーションフェスティバルですが、現在も続いているヨーロッパと、数回で止めてしまった我が国とでは、残念ながら大きな差が出来てしまいました。それは作家の層の厚さでも解りますが、何よりもデビュー賞の部門の質の高さが物語っています。彼らはアニメーションに人生をかける意義も楽しさも知り、のびのびと自己表現をしているのです。多くの秀れた作家達やその作品に触れ、刺激される事や参加する興奮が、手とり足とりの教育よりもいかに重要か解るような気がします。

 広島の映画祭が決まるまでの苦労を話すつもりはありませんが、とにかく新しく作り出す事は、壊す事ほど簡単でない事だけは確かです。

 まずは、誕生を祝い、暖かく末ながい目でこの映画祭を育てて欲しいと思います。

 10年先、20年先には必ず私達の心を満たしてくれるすばらしい作家が生まれてくると思います。

 ぜひ8月18日から23日を広島で過して下さい。そして、大人から子供まで楽しめる、本当のアニメーションの世界を覗いて下さい。

 そこには、きっと皆さんの求めている“何か”、その形にならなかった“何か”があると思います。大人のロマンの世界です。
--------------------------------------------



posted by T.K at 10:34| Comment(1) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。