2010年07月18日

私的、広島と映画とアニメーション論 30 広島国際アニメーションフェスティバル−4

30 広島国際アニメーションフェスティバル−4

 1984年4月10日付で国際アニメーションフィルム協会(本部フランス・アヌシー市)ジョン・ハラス会長から広島市宛に「1985年8月に広島で国際アニメーション映画祭を開催するならば支援する」と手紙がきて、広島市は十一日、全面協力する方針を決めた。

               1984年4月12日 中国新聞朝刊より
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 反核訴える「国際アニメ・フェスティバル」
  来夏、広島で実現へ 市が全面協力決める

 被爆四十周年の来年夏、国際アニメーションフィルム協会=ジョン・ハラス会長(英国)、約三千五百人=所属の日本人作家が広島で開催を提唱している反核・平和をテーマにした国際アニメ・フェスティバルに対し、広島市は十一日、全面協力する方針を決めた。同協会日本支部(木下蓮三支部長、二十二人)はさっそく準備に入り、六月の世界総会で広島開催の正式決定を得るために「被爆地ヒロシマでの開催意義を世界にアピールしたい」と張り切っている。
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 広島では、実際1985年の開催までにはいろいろあった。広島市議会も賛否両論あって紛糾した。当時自治省から出向し政令指定都市の実現に取り組んでいた澤田秀男助役が理解を示した点は大きな力を得た。澤田助役は若い頃、湘南地方で現東京都知事の石原慎太郎氏と文学同人誌仲間であったと聞いた。

 それから、開催まで大変だった。財政難に加え、人材難・・・・。官民一体となって、なんとかこの国際的なイベントを成功させようと・・・・。ボランティアで映画手帖社、日本交通公社、広島YMCA、観光協会、電通、日通、それに広島映画センターが入った。広島映画センターからは田辺昭太郎、古米邦生、由本真理子を送った。

 1985年1月26日、ASIFA JAPANの総会に広島から塩谷、中原、田辺、それに筆者が参加し、第1回広島国際アニメーションフェスティバルの運営について協議した。

その時の写真。
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 前列左から木下小夜子、相原信洋、小野耕世、筆者、塩谷恭人(広島市文化振興事業団常務理事、フェスティバルGS)、田辺昭太郎、手塚治虫、後列右から木下蓮三、中原哲哉(広島市文化振興事業団事業課長)、二人おいて川本喜八郎、後列左から三人目古川タク各氏。

手塚治虫さんと名刺交換する筆者
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2010年07月11日

私的、広島と映画とアニメーション論 29 広島国際アニメーションフェスティバル−3

29 広島国際アニメーションフェスティバル−3

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 左から、木下蓮三・小夜子夫妻、金井宏一郎氏(当時、広島国際文化財団事務局長)、筆者。(写真撮影 田辺昭太郎)

 1984年3月27日、初の原爆告発アニメーション『ピカドン』を製作した木下蓮三氏は広島市役所を訪れ、荒木武広島市長に国際アニメーション映画祭開催の要請書を手渡した。木下小夜子夫人と広島映画センターの私と田辺昭太郎も同席した。
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広島市長 荒木武殿
                  ASIFA(国際アニメーションフィルム協会)理事
                  ASIFA JAPAN会長            木下蓮三

国際アニメーション映画祭開催についてのお願い

 私共の会は来年創立25周年にあたります。これを記念して日本において国際アニメーション映画祭を開催いたしたく準備しています。

 国際アニメーションフィルム協会において日本の広島市での開催を望む声があり日本支部で検討いたしましたところ、同じく広島での開催を決議し、今回その意を受けて代表としてお願いに参りました。

 アニメーション芸術は未来に対して開かれた文化であり、広島市でこの企画がおこなわれれば歴史的にもすばらしいものになると思います。私共としましては、平和を誓うアニメーション映画祭を広島市で実現できればこのうえない喜びです。
何とぞご検討のほどよろしくお願いします。
                                        以上
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                       1984年3月28日 中国新聞朝刊より
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 来夏、広島で国際アニメ祭
  被爆40周年で協会日本支部 市に協力を要請

 被爆四十周年の来年夏、被爆地・広島で、アニメーション映画の国際的なフェスティバル開催を計画している国際アニメーションフィルム協会(本部フランス・アヌシー市)日本支部の木下蓮三会長(アジア地区理事)は二十七日、広島市を訪れ、荒木市長にフェスティバル開催について市側の協力を要請した。同市長は「実現に向けて前向きに検討したい」と、受け入れに積極姿勢を示した。

 アニメーション・フェスティバルは、同協会が二年に一回、ヨーロッパを中心に開いている国際的な映画祭。六年前に原爆アニメ「ピカドン」(カラー16ミリ、九分)を製作し、東ドイツのライプチヒ国際短編記録映画祭に出品している木下会長をはじめ、手塚治虫、久里洋二氏らアニメ作家二十二人でつくる日本支部は「アジアで初めてのフェスティバルを被爆四十周年の広島で開き、平和の重みをかみしめたい」と広島開催を計画。その受け入れについてこれまで広島市と話し合いを進めていた。

 荒木市長に正式に協力要請した木下会長は「来年は協会創立25周年でもあり、世界のアニメ作家が改めて平和を誓うフェスティバルをぜひ広島で開きたい」と要請書を手渡した。これに対し、同市長は「受け入れに伴う予算面などに問題が残されているが、自治体としては、日本で唯一の市映像文化ライブラリーをアニメ芸術のメッカにするためにも、開催計画を前向きに検討したい」と答えた。

 木下会長の話では、開催が実現すれば、フェスティバルは来年八月六日を中心に一週間程度開き、世界の有名作家らが出品した約二百本の作品を審査し、優秀作品五、六十本を市民に公開したい考え。
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2010年07月03日

私的、広島と映画とアニメーション論 28 広島国際アニメーションフェスティバル−2

28 広島国際アニメーションフェスティバル−2

 木下蓮三さんの日記にある「中国新聞が1985年夏の開催決定をスクープ報道」の記事。

                  (1984年3月14日 中国新聞夕刊)
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 反核・平和誓うアニメ映画祭を 日本人作家ら提唱
  来年、広島で国際フェスティバル計画
   8・6中心に50本上映  市も受け入れ検討

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(原爆をテーマにした初のアニメ映画として反響を呼んだ木下蓮三氏作の『ピカドン』の一部)

 来年、被爆四十周年のヒロシマで、反核・平和を誓うアニメーション映画の国際的なフェスティバルを開く計画が持ち上がっている。二年に一回、ヨーロッパを中心に大規模なアニメ・フェスティバルを開いている国際アニメーションフィルム協会=ジョン・ハラス会長(英国)、約三千五百人=に所属する日本人作家らが提唱し、実現すればアジアでは初めての開催。国際文化都市を目指して国際的なエベント招致に力を入れている広島市も、開催受け入れについて検討を始めた。

 国際アニメーションフィルム協会に所属している日本人作家は、六年前に原爆をテーマにしたアニメーション映画「ピカドン」(PICADON カラー16ミリ、九分)を製作して反響を呼んだ木下蓮三氏をはじめ、久里洋二、手塚治虫氏ら二十二人。なかでも、同協会のアジア地区理事を務める木下氏は、「世界の作家が改めて反核・平和を誓う場」として、被爆四十周年のヒロシマでのフェスティバル開催に強い熱意を示し、広島市に受け入れを働きかけている。

 木下氏らの計画では、フェスティバルは「原爆の日」の8月6日を中心に五、六日間の日程で開き、世界の有名な作家らが出品した約二百本のアニメ映画を審査。優秀作品を五、六十本に絞って連続上映し、市民に公開する。「ヒロシマで開くことになれば、出品作品のテーマも核や平和問題に集中するのは必至。これまでのフェスティバルとはひと味違うアニメの“平和映画祭”になる。」と木下氏は期待している。

 この計画に広島市も感心を持ち、既に木下氏と話し合いを進めているが、問題は受け入れに伴う費用。これまでのフェスティバルでは、開催都市が出品作品の運搬費用や審査委員ら協会幹部の交通、滞在費、フェスティバルのポスター、会場の費用などを負担し、市は「七、八千万円はかかる」(企画調整局文化担当)とみている。

 広島で開くことになれば、四月にユーゴスラビアで開かれる映画芸術関係者の国際会議で意思を表明する必要がある。このため、木下氏は広島市の態度決定を心待ちにし、広島市も「地元財界などの協力も得る実行委員会方式での開催が可能かどうか、直接の実施機関を市教委、市映像文化ライブラリーのどちらにするか総合的な検討を急ぎたい」(石橋企画調整局次長)としている。
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